原状回復をめぐるトラブルで相談窓口となるのは?

原状回復をめぐるトラブルで相談窓口となるのは?

オフィスや事務所、店舗などを退去する際、原状回復をめぐって様々なトラブルが生じることがあります。費用があまりにも高額である、そのため敷金が返還されないなどといった悩みは一人で抱えるには大き過ぎるものです。

それでは、困ったときはいったいどうすればよいのでしょう。相談窓口となってくれるのはどこなのでしょうか。

オフィスや事務所、店舗などの事業用の賃貸は、住居用のアパートやマンションの賃貸とは少し立場が違ってくるのです。

消費生活センターは消費者のための相談窓口

困ったときの相談窓口といえば、まず思いつくのは消費生活センターです。

原状回復をめぐるトラブルについては、個人の場合この消費生活センター(国民生活センター)が相談窓口となっており、賃貸住宅の敷金、ならびに原状回復トラブルについては毎年1万件を超える相談が寄せられています。

その内容は様々で、

  • 数カ所の傷を理由に壁紙クロスの全面交換を求められた
  • 立会い時には指摘されなかったカーテンやフローリングの交換費用を要求された
  • 届いた請求書の金額が立会いの際に大家から言われたものより高額になっている

など、事業用の賃貸における原状回復にも当てはまりそうなものも多数あります。

しかし、消費生活センターはあくまで消費者の立場を守るための相談窓口なので、事業者対事業者の契約では基本的に相談窓口とはなりません。

事業者にとって相談窓口となってくれるのは

このような理由から、原状回復について納得のいかない点があれば、多くの場合テナントはオーナーと直接交渉をして解決しようとします。

たとえば費用が高額すぎる場合、相見積もりをとるなどしてオーナーと業者に対して交渉を試みます。しかし、このとき交渉は単純な工事単価の値下げの要求になってしまうことが多く、それでは大幅なコストの削減は望めません。やはり専門家の知識が必要です。

そこで、建設業者・建築事務所・法律事務所などを訪れ、相談窓口とすることもあります。

確かにこれらを相談窓口とすることもできますが、どれも原状回復をめぐる問題に特化して事業を行っているわけではありません。そのため工事の詳細であったり、法的な原状回復の解釈であったり、それぞれに詳しい部分とそうでない部分があることになります。

どれかひとつを相談窓口として入り口にすることはできるかもしれませんが、結局それ以外の専門家からも力を借りることになるでしょう。

現実的には、事業用の賃貸において、原状回復について困ったことがあればここへ、というわかりやすい相談窓口はあまり確立されていないことになります。

相談窓口の不在がもたらす現状

原状回復をめぐって問題が生じたとき、おそらく何よりも多いのは、納得のいかない点があっても積極的に対処することができず、もしくは交渉しても要望が聞き入れられないままに泣き寝入りしてしまうというケースでしょう。

内容と費用に納得がいかないまま仕方なく工事を行ってしまえば、後から問題を解決するには調停や訴訟にまで議論を持ち込むことになります。実際に、原状回復をめぐる訴訟にはたくさんの事例が残されています。

原状回復のトラブルならここへ、という専門的な相談窓口は他にほとんどありません。しかし、そういった点につけ込んでオーナーや業者によるぼったくりが横行する事実を、そのままにしておくわけにはいかないのです。

適正な査定によって原状回復を行うことはオーナーや業者の認識を改め、自分たちにだけ都合のいい要求はまかり通らないのだと気付いてもらうことにもなります。それは、後から入居する人たちにとっても利益となるかもしれません。