国土交通省ガイドラインとオフィスの原状回復の関係

国土交通省ガイドラインとオフィスの原状回復の関係

一般的にオフィスの原状回復には、国土交通省のガイドラインを適用されることはほとんど無いと言って良いでしょう。それは、国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインが「民間賃貸住宅を想定」と明記してあるからです。

国土交通省のガイドラインの記載内容は、営利を目的とする法人(オフィス)と法人(ビルオーナー)の間での契約の内容や原状回復に関しての対象となる事はありません。

ところが、近年小規模のオフィスも国土交通省が制定するこのガイドラインに沿って、原状回復の費用を算定されるケースが発生しました。

一つの契機となったのは平成17年に東京簡易裁判所での判決です。

マンションの一室をオフィスとして借りていた賃借人が、敷金の返還を求める裁判の中で、東京簡易裁判所は「居住用の小規模マンションであり、築年数も20年弱の中古物件である」点や「居住用の賃貸借契約と変わらず、これをオフィスビルの賃貸借契約と見ることは相当ではない」として、国土交通省のガイドラインに従って原状回復費用を算定すべきであるという判断を下しました。

この判例によって、オフィスの原状回復の範囲やその費用は国土交通省のガイドラインの内容に大きく影響を受ける事となります。

原状回復とそのガイドラインとの関係性の注意点

ただし、注意すべき点もいくつかあります。

まず、一つ目に判例となった物件は居住用の小規模なマンションである事です。どのような大きさであっても、全てのオフィスが国土交通省のガイドラインに沿う事ができる訳ではありません。

小規模オフィスであり、かつ物件の状態によって左右される点がまず第一にあります。

第二に、国土交通省のガイドラインにもある様に賃貸契約の内容が有効なものと判断されることです。確かに、小規模オフィスの場合の原状回復は、国土交通省のガイドラインに沿うことは判断されています。

ですが、オフィス入居時に契約した内容によっては、原状回復を義務であるとする内容が記されている可能性もあります。

この場合、契約書の内容は有効であり原状回復は義務であると判断される可能性もあるということです。

最後に、判例の様にオフィスの規模も大切になります。

判例の場合は、一般居住用の物件にオフィスの人員も二人・使用機器もコピー機一台という所から、民間の利用と変わらないと判断されました。これが、従業員が100人や200人などという数になれば、国土交通省のガイドラインが適用されない事は言うまでもありません。

契約書の内容・オフィスの規模によって変化はしますが、原状回復が義務である物件の数はまだまだ多いのが現実と言えるでしょう。

原状回復はトラブルになりやすいポイント

原状回復の範囲や内容は複雑で、多くのトラブルの原因にもなっています。国土交通省のガイドラインにも明記してある様に『賃貸借契約の「出口」すなわち退去時の問題と捉えられがちである原状回復の問題を、「入口」すなわち入居時の問題として捉えること』が大切です。

オフィスに入居するときも、ガイドラインにある様にきちんと入居時の状態を把握し、図面で確認するだけでなく写真などを撮影しておきましょう。この場合、日付が入力できるタイプの写真で残しておけば問題も少なくありません。

チェックリストもガイドラインには有りますので、こういったものを参考にオフィス入居時の状態を、きちんとオーナーとも共有しておくことも大切です。契約の内容を確認することはもちろん、この様な点も意識しておくことでオフィス退去時に無用なトラブルを招くことがなくなるでしょう。

ガイドラインそのものには法的な拘束力などは無く、あくまで基準であり参考資料だと国土交通省も述べています。ですが、様々なトラブルの事例やそのQ&Aを掲載している他、制度や判例もある程度掲載されています。オフィスの退去が決まった時には確認してみると良いでしょう。